老後資金はいくら必要?:老後資金の計算方法

老後は何歳から?
いつから老後が始まるのでしょうか?特定の定義はありませんが、多くの人々が全ての仕事をリタイアして年金収入のみで生活を始める時期と捉えています。では、全ての仕事をリタイアするのはどの年齢でしょうか?
雇用と年金受給
2021年4月に改正された高年齢者雇用安定法により、企業は70歳までの雇用を努力義務として課せられるようになりました。また、年金の受給開始年齢も75歳まで引き延ばされ、高齢化の流れが進んでいます。
特に年金の受給開始を65歳で行う場合と60歳で行う場合とでは、約24%もの差が生じます。60歳であっても働く能力がある場合、多くの方が定年後も労働を選択しています。実際、約8割の人々が継続して働いているのです。
現在、65歳でも働く意欲がある場合、70歳や75歳まで働く環境が整備されつつあり、老後の時期はどんどん遅くなっています。この結果、老後は75歳を過ぎてからの生活というケースが増加していく傾向にあると言えます。
老後にいくら必要?老後資金の目安
老後にいくら必要かは、リタイヤしてから死ぬまでの期間がどのくらいあって、その期間にどれだけのお金が要るのかを見積もる必要があります。
リタイヤしてから死ぬまでの期間
リタイヤしてから死ぬまでの期間は人それぞれ異なるため、100歳まで生きると仮定するか、平均寿命を利用して期間の計算をします。以下の数値は2021年の平均寿命のデータです。
日本人の平均寿命
- 男性の平均寿命:約81.41歳
- 女性の平均寿命:約87.45歳
出典:国立社会保障・人口問題研究所(独立行政法人国立社会保障・人口問題研究所)
老後の期間
上記の事からもし75歳でリタイヤした場合の老後の期間は、次のようになります。
- 男性:6.41年~25年
- 女性:12.45年~25年
特に女性の場合は男性よりも6年平均寿命が長いため、できるだけ働いて老後の期間を短くしたり、50代のうちから資産運用などして老後資金を多く準備することが安心へとつながります。
年間の生活費はいくらか?
老後の生活費は、生活環境や居住地によって大きく異なります。まず、現在の生活スタイルを維持したまま老後を迎える場合の費用を算出することが初歩です。具体的には、現在の年間支出額を把握しましょう。
現在の年間支出を老後の年数に掛け合わせることで、基本的な老後の生活費が見積もられます。しかし、実際の状況は複雑です。男性は一般的に女性よりも寿命が短いため、ある時点からは一人暮らしとなり、生活費や年金収入が変動することが考えられます。
生活費よりも医療費
年齢が上がるほど増加するのが医療費です。個人差はありますが、その見積額を500万円とするフィナンスプランナーもいます。上記の生活費の計算は寿命から計算してますが、寿命の他に、「健康寿命」というものがあります。
健康寿命
健康寿命は、介護を必要とせずに自力で生活ができる年齢です。厚生労働省の2019年の統計では、次のようになってます。(全国平均)
- 女性:75.38歳
- 男性:72.68歳
注目したいのは健康寿命と、寿命の差です。この差は、自力で生活できず、何らかの支援が必要な期間となります。長ければ長いほど医療費や介護費がかさむことになります。老後資金の医療費と介護費の計算方法について、次のページで紹介してます。
年金受取額は?
50代になると、年金の受取り額がある程度見えてきます。
ねんきんネット
年金額を調べるには、日本年金機構の「ねんきんネット」を利用します。
公式サイト: https://www.nenkin.go.jp/n_net/index.html
ねんきんネットのシミュレーション機能
「ねんきんネット」には、年金に関するシミュレーション機能が備わっています。この機能を利用することで、将来の年金受給額や受給開始時期、支払い額などを予測することができます。
シミュレーション機能を活用することで、現状や将来の計画に合わせた年金受給額や支払い額を確認し、老後の生活計画を立てる際の参考にすることができます。また、異なる受給開始時期や支払い額のパターンを試してみて、最適な選択肢を見つけるのにも役立ちます。
シミュレーション機能で、より具体的な情報を得て、老後の計画をより具体的に進めることができます。ただ、シミュレーション結果は予測値であって、実際の受給額や支払い額は将来の変化によって影響を受ける可能性があることを理解しておく必要があります。
老後資金はいくら必要?
老後資金がいくら必要か計算するのに、老後用の貯蓄額も使って、次のように計算します。
必要な老後資金=
老後用貯蓄 - ((年間年金受給額 - 年間生活費) X 老後期間)
必要な老後資金がマイナスの場合、そのマイナス分を今から用意するか、支出を減らす工夫が必要になります。
また、この計算式は最も単純なもので、次の考慮に欠けています。
- インフレ
- 予期せぬ支出
- 年金の変動
老後資金計画は個人の状況や将来の見通しによって異なるため、金融アドバイザーや専門家の意見を聞くこともおすすめします。