高齢期にかかりやすい病気
関節炎(特に変形性関節炎)
関節炎について、特に変形性関節炎に関して言えば、関節の軟骨が摩耗し、炎症が生じることで関節の痛みや動きの制限が起こることがあります。変形性関節炎は、関節の不快感や機能制限を引き起こす可能性があるため、早期の対処や適切なケアが非常に重要です。適切な医療検診を定期的に受けることや適切な治療法を受けることによって、症状の進行を遅らせることが可能です。
特に高齢者においては、変形性関節炎の症状が膝、股関節、背中の脊椎関節、手関節および指関節、足の関節、肘関節など、さまざまな部位で出ることがあります。
膝の変形性関節炎:変形性膝関節症
変形性膝関節症は、膝の関節軟骨が摩耗し、炎症や痛みを引き起こす疾患です。一般的な関節疾患の中でも非常に一般的なものであり、高齢者に特に多く見られます。症状は進行性で、初期段階では軽度の痛みや違和感から始まり、重度になると日常生活に支障をきたすことがあります。
変形性膝関節症の対策
早期の段階で適切な予防や治療を行うことが重要です。運動不足を避け、適切な運動を行うことや、体重管理、関節を保護するための適切な姿勢や動作を意識することが予防に役立ちます。もし膝に痛みや不快感を感じたり、関節の動きに支障を感じた場合は、早めに医師の診察を受けることが大切です。
心血管疾患
更年期以降、女性ホルモンの減少により、心血管疾患(心筋梗塞、脳卒中など)のリスクが増加します。心血管疾患は「心臓と血管に関連した病気」です。
心血管疾患には、心臓に関連した病気(心筋梗塞、心臓弁膜症、心不全など)や、血管に関連した病気(動脈硬化、高血圧、脳卒中、末梢血管疾患など)が含まれます。これらの疾患は、心臓と血管の健康に直接的または間接的に影響を与えるものであり、重篤な場合には命にかかわることもあります。
心血管疾患の予防
心血管疾患のリスクを減らすためには、健康的な生活習慣を心掛けることが重要です。禁煙、適度な運動、バランスの取れた食事、ストレスの管理、定期的な健康診断などが心臓と血管の健康をサポートするために役立ちます。早期発見と適切な治療を受けることで、心血管疾患の進行を防ぐことができる場合もあります。
認知症
認知症は主に脳の損傷により、記憶、思考、判断力などの認知機能が徐々に低下する状態を指します。認知機能の低下によって引き起こされる病気にアルツハイマー病や、脳血管性認知症などがあります。
認知機能の低下予防
予防法として、健康的な生活習慣の維持、バランスの取れた食事、脳を刺激する活動(読書、パズル)、運動、社会的な交流を促進することが推奨されます。
高血圧症や高コレステロール血症
高齢期に入ると高血圧や高コレステロール血症が発生しやすくなります。高血圧症や高コレステロール血症は、血管の健康を損なうことで心血管系の疾患のリスクを高める要因となるものです。
原因
遺伝的要因や不健康な生活習慣(高脂肪食、運動不足、喫煙など)が関連してます。
予防法
予防法には、バランスの取れた食事、低脂肪で繊維質豊富な食品の摂取、適度な運動、体重の管理があります。また、定期的な健康チェックや医師の指導のもとでの薬物療法があります。さらに、禁煙やストレス管理などの生活改善も予防に関連します。
高血圧症や高コレステロール血症の症状
高血圧
血圧が通常の範囲を超えて上昇する状態で、心臓や血管に負担をかけ、動脈硬化や、心臓病、脳卒中のリスクを高めます。高血圧の一般的な症状は、しばしば無症状であることが多いです。これが「無症状性高血圧症」と呼ばれる状態で、多くの人が症状を感じずに血圧が高くなっていることがあります。しかし、一部の人は次の症状や徴候を経験することがあります。
- 頭痛
- 頭重感やめまい
- 疲労感や息切れ
- 鼓動の速さや不規則な心拍
- 頻尿
自己判断はせず、定期的な健康診断をお勧めします。
高コレステロール血症
高コレステロール血症は、血液中のコレステロール値が通常よりも高い状態を指します。特にLDLコレステロール(「悪玉コレステロール」とも呼ばれる)の過剰な増加が動脈壁に蓄積して、動脈硬化を引き起こす可能性があります。高血圧と同様に無症状で進行することが多いです。長期間にわたって高いコレステロール値が続くと、動脈硬化が進行し心血管疾患のリスクが増加します。動脈硬化が進行する経過でも無症状で気が付きにくいので、定期的な健康診断が必要です。
高コレステロール血症は心臓病や脳卒中などの心血管系の病気のリスクが上昇します。次のような症状の場合、早期の医療チェックが重要です。
- 胸痛や不快感、息切れ
- 突然の強い頭痛、片側の体の麻痺やしびれ、言葉の障害
- 足や脚の痛み、しびれ、血行不良
うつ病
高齢期にかかりやすい病気にうつ病があります。うつ病は心の健康を脅かし、気分の持続的な低下や興味喪失、エネルギー不足、自己評価の低下などの症状が見られます。
原因
生活の変化や喪失、孤立、身体的疾患、神経伝達物質のバランスの乱れなどが原因とされています。
治療
治療には、心理療法や抗うつ薬の使用が一般的です。心理療法は感情や思考の健全化に焦点を当て、抗うつ薬は脳内の神経伝達物質を調整する助けをします。また、定期的な運動や社会的な交流、ストレス管理、健康的な食事が症状の軽減に役立つことがあります。
予防法
予防法として、健康な生活習慣の維持が重要です。運動や趣味、社会的なつながりの促進、ストレス軽減法の学習など、心の健康をサポートする取り組みが予防に寄与します。早期の症状に気づき、専門家の指導を受けることも大切です。高齢期のうつ病に対する正しい理解と、適切なケアが心の健康を守る鍵となります。
目・歯・耳の病気
次の病気は高齢期によく見られるもので、日頃の予防策や早期の対処が重要です。定期的な医療検診や専門医師の診断を受け、健康な生活習慣を維持することが、目、歯、耳の健康を維持する鍵となります。
目の病気
高齢期にかかりやすい目の病気には白内障、緑内障、加齢黄斑変性があります。
歯の病気
高齢期にかかりやすい歯の病気には歯周病、口腔がんがあります。
耳の病気
高齢期にかかりやすい耳の病気には高齢性難聴、耳鳴りがあります。